第二話『プリティ・ウーマン』

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「そう言えば、『プリティ・ウーマン』もバッドエンドの予定だったんですよ」 「えっ! 『プリティ・ウーマン』も?」 僕は壁に貼られていた『プリティ・ウーマン』のポスターに視線を向ける。 娼婦役のジュリア・ロバーツが実業家役のリチャード・ギアのネクタイを引っ張っている。 このポスターは二人をバランスよく配置する為に合成したものだと千映さんから聞いていたけど、その話は知らなかった。 「本当はどんなラストだったんですか?」 「実業家のエドワードには別に恋人がいて、娼婦のビビアンは麻薬中毒の設定だったみたいです」 「麻薬中毒…………」 「はい。そして、ラストも二人は別れて終わる展開だったようです。エドワードは恋人のところに戻り、ビビアンは娼婦を続けて…………」 「そんな展開で面白いんですか?」 「いまいちと思った関係者がいたんでしょうね。そして、脚本をハッピーエンドに変更して、映画は大ヒットしたんです」 千映さんは愛おしそうに『プリティ・ウーマン』のポスターを眺める。
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