第二話『プリティ・ウーマン』

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その時、ドアが開いて、原田さんが探偵事務所に入ってきた。 原田さんは前に見た時よりも痩せていて、アゴには無精髭が生えていた。 やっぱり、恋人の麗華さんに裏切られたことで憔悴しているんだろう。 「あっ! 原田様」 美亜さんがドアの前に立っている原田さんに駆け寄った。 「おはようございます。わざわざ来ていただいて感謝します」 「いや。支払いのこともあったし、この事件に関わった君たちには伝えておきたいこともあったからね」 原田さんはそう言うと、来客用のソファーに腰を下ろした。 「麗華と三木が警察に捕まったのは知っているよな?」 「はい。こちらにも警察から連絡がありましたし、ニュースでも確認しました」  「そうか。実は麗華が警察に捕まる前に彼女と話したんだよ」 「本人が詐欺を認めたんですね?」 「…………ああ」 数秒の間をおいて、原田さんは首を縦に振った。
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