第二話『プリティ・ウーマン』

74/89
前へ
/258ページ
次へ
千映さんはトントンと人差し指で頭を叩く。 「たしか、麗華さんは三木さんの名前を口にしようとした時、最初に『お』をつけていました。多分、伯父さんって言おうとしたんでしょう。それを三木さんとわざわざ言い直したんです」 「…………すみません。覚えていません」 「後でボイスレコーダーを確認してみるといいですよ。とにかく、麗華さんはどうしても三木さんの名前を出したかった。その理由は尾行している悠人さんと姉に編集の三木さんと会っていることを伝えたかったのではないでしょうか」 「つまり、僕と美亜さんの尾行がばれていたってことか…………」 「はい。麗華さんは尾行していた悠人さんたちの姿を見ていたんですよね?」 「え、ええ。でも、一瞬だったと思うし、僕は探偵っぽくないから」 「それでも、気になったんでしょう。悠人さんと姉が探偵かもしれない。それなら、チャンスだと」
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

202人が本棚に入れています
本棚に追加