第二話『プリティ・ウーマン』

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「違いますよ」 千映さんがきっぱりと原田さんの言葉を否定する。 「麗華さんは『死の歯車』の登場人物の仕掛けに気づいたんですよね? そして、それは編集の三木さんも知らなかったって、あなたがおっしゃったんですよ。つまり、本当に麗華さんはあなたの小説が大好きなんです」 「僕の小説が…………大好き?」 「ええ。ホラーミステリーの『死の歯車』も、恋愛物の『純粋な白』も」 「いや、麗華は『純粋な白』は気に入らなかったんだ。本になる前に読ませたけど、好みじゃないって本人が言ったんだよ」 「それは変ですね」 「変?」 「だって、麗華さんはあなたを騙そうとしていたんですよね? それなのにターゲットの機嫌を悪くするようなことを何故言ったんでしょう?」
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