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「それなら麗華さんの不自然な行動はどう説明します? 原田さんの小説を読書マニアよりも深く読み込んでいたのは何故ですか? 原田さんの新作の小説を気に入らないと言ったのは何故ですか? 私たちが尾行を始めて、一日目で共犯者までわかる完璧な証拠を手に入れたのは幸運だった、でいいんですか?」
「どれもささいなことじゃないか!」
「ささいなことでも、これだけ重なると偶然とは思えません」
「だけど…………」
「原田さん」
凜とした千映さんの声が響いた。
原田さんの体が電気を浴びたかのように反応する。
「私は写真でしか麗華さんを見たことがありません。だから、原田さんの言う通り、彼女はお金目的だけであなたとおつき合いしていた可能性もあります。でも、それでいいんですか?」
「それでいいって?」
「私の考えは絶対に間違っていると断言できますか? 麗華さんに原田さんを愛する気持ちなど全くないと?」
「…………僕を愛する気持ち?」
「それがわかるのは当事者の原田さんだけです。三ヶ月間、おつき合いをされていたんですから」
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