202人が本棚に入れています
本棚に追加
「三ヶ月…………か」
原田さんは僅かに顔を上げて、まぶたを閉じた。
きっと、麗華さんとの思い出を頭の中で確認しているんだろう。
十数秒の沈黙の後、結ばれていた原田さんの唇が開いた。
「やっぱり、僕は麗華を信用できない。あいつが結婚詐欺をやっていたのは事実だからな」
「…………そう…………ですか」
千映さんの表情が陰る。
「まあ、私の推理が間違っている可能性もありますね」
「君の推理力は認めるよ。正直、現実にこんな名探偵がいるとは思わなかった。もし、次に名探偵物を書く機会があったら、君をモデルにしたいね」
「それはありがとうございます」
「ただ、今回の推理は間違っているだろう。九割はね」
「九割?」
「ああ。だから、残り一割の可能性も考えて、麗華ともう一度話してみるよ。留置場に面会に行くことはできるから」
最初のコメントを投稿しよう!