第二話『プリティ・ウーマン』

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原田さんはそう言って、頬を緩めた。 「君は変わっているな」 「そうですか?」 千映さんが不思議そうな顔で原田さんを見つめる。 「自分では普通だと思っているんですけど」 それはないな。千映さんが普通なわけない。 「悠人さん…………」 「あ…………あはは」 僕はぎこちなく笑う。しまった。顔に出ていたか。 でも、僕だけじゃなく、千映さんを知っている人なら、みんな、彼女を個性的だと思っているはずだ。 「ところで」 原田さんがごほんと咳払いをした。 「千映さん。君に質問があるんだけど、いいかな?」 「はい。なんでしょう?」 「何故、君はそんなに麗華のことを気にしているんだ? 君にとっては会ったことのない素行調査の相手だろ?」 「依頼人である原田さんの幸せを考えたんです」 「僕の幸せ?」 「はい。最初に原田さんが麗華さんのことを私たちに話した時、顔を上げて、まぶたを閉じていました。その時の表情がすごく幸せそうに見えたんです。きっと、麗華さんとの素敵な時間を思い出していたんでしょう。その幸せな時間を取り戻せる可能性があるのなら、教えたいと思っちゃいますよ。だって…………」 「だって…………なんだい?」 「だって、映画と違って、現実ではハッピーエンドがいいですから」 そう言って、千映さんはにっこりと微笑んだ。
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