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女の人はすっと前に出て、十センチ以上高い僕を澄んだ瞳で見上げた。
周囲を舞う桜の花びらのような色の唇がゆっくりと開く。
「希望は何にも替え難い。希望は永遠の命です」
「永遠の命?」
「はいっ!」
何を言っているんだ? この人は?
綺麗な人だけど、もしかして、宗教か何かの勧誘なのか?
「宗教の勧誘じゃないですよ」
「え…………?」
あれ? 自分、声に出したっけ?
「いいえ。声になんか出していません。安心して下さい」
女の人はにっこりと微笑んで、首を僅かに傾けた。
「さっきの言葉は、映画のセリフです」
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