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午後十一時、僕は重大な自分のミスに気づいた。
郵便局の定期預金を解約することを忘れていたのだ。
「何をやってるんだ? 僕は」
隣の個室でいびきをかいているおじさんを起こさないような小さな声で、僕は自分に文句を言った。
十万円程度のささやかな金額だったが、それがなければ、財布の中にある三千円弱の金で週末を乗り切らないといけない。
自分の愚かさに腹が立つ。
「これじゃあ、解雇したいと思われてもしょうがないか…………」
僕は服を詰め込んだボストンバッグを抱えて、慌ててネットカフェを出た。
外に出ると、周囲の店はほとんど閉まっていた。
人の姿もまばらで、目の前の道路を行き来する車の数も少ない。
「残り千三百二十円か…………」
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