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僕は野宿をする場所を商店街の中に決めた。
その場所は更地になっていて、左右の店が夜の冷たい風を防いでくれると思ったからだ。
人通りもほとんどなくなったし、朝になったら近くのファーストフード店に移動すれば問題ないだろう。
隣の店舗の壁に背中をつけ、僕はしゃがみこんだ。
通路側にボストンバッグを置くと、少し寒さが和らぐ気がした。
「この程度なら、凍死することもないか」
ボストンバッグの中から小豆色のマフラーを取り出し、首の周りに巻く。
「あと一ヶ月遅かったら、気持ちよく野宿ができたのになぁ」
そうつぶやきながら、冷たくなった手に息を吹きかける。
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