第一話『ショーシャンクの空に』

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とりあえず、土曜の朝にファーストフード店かコンビニで二百五十円以内の朝食を食べて、昼は我慢だな。 夜も二百五十円以内にして、それを二日分。残りの三百二十円は飲み物代か。 公園で水は飲めると思うし、限界だと思ったら温かい飲み物でも買うか。 そんなことを考えていると、いつの間にか目の前に黒猫がいた。 黒猫は片方の耳の先端がV字に切れており、少し年をとっているように見えた。 「ニャー」 黒猫は低い声で鳴くと、金色の瞳で僕を見上げた。 「あ、ごめん。食べ物は持ってないんだ」 黒猫に向かって手の平を見せたけど、黒猫は僕の側から離れない。 「まいったな。さすがに今はキャットフードを買う金はないんだよ。せめて、月曜日ならなんとかなるんだけど」
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