第一話『ショーシャンクの空に』

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「それで、今の質問ですけど、小さな映画館では過去の作品を上映することもあるんですよ。少し安い金額で」 「へーっ、そんな映画館もあるんですね。映画館はいつも新作を上映しているんだと思っていました」 「名画座やミニシアターって呼ばれていますね。今はデジタル化の問題もあって、どんどん少なくなってきていますけど」 千映さんの声が暗くなった。 「でも、いい映画を上映すれば、お客様は来てくれますから。そんな映画を選ぶのが、支配人の私の仕事なんです」 「いい映画か…………」 「はい。『ショーシャンクの空に』は名作中の名作です! 冤罪で刑務所に入ることになった銀行員の物語なんですけど」 「冤罪? 冤罪で刑務所に入るんですか?」 「ええ。でも、アンディーは…………あ、銀行員の名前ですね。彼は絶望的な状況でも希望を捨てないんですよ。そんな彼の態度が周りの囚人たちのすさんだ心も変えていくんです。そんな魅力的な人物をティム・ロビンスが好演しているんですよね。それに、相棒役のレッドを演じたモーガン・フリーマンもさすがの演技ですよ。渋くて表情の作り方が上手くて安定感もあるんです。そして…………」
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