第一話『ショーシャンクの空に』

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「え? これ?」 「初めてのお客様にはポップコーンとドリンクのSサイズをサービスしているんです。ドリンクはペプシコーラでいいですよね?」 「あっ、はい。ありがとうございます」 「集中して映画を観るのもいいですけど、ポップコーンを食べながらの映画観賞は最高に幸せですよ。この世に生まれてきてよかったって感じるはずです!」 「は………はは…………」 ポップコーンはできたてなのか、紙コップを通して熱が伝わってくる。 バターの香りが鼻腔に届き、空腹だった胃を刺激する。 正直、このサービスは有り難かった。 これから二日間、食事はできないんだから。 「上演まで、あと十五分ありますから、ゆっくりしていて下さい。試写室は正面のドアの向こうです。座席は好きな場所を選んで構いませんよ」 「どうも…………」
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