第一話『ショーシャンクの空に』

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外見から想像がつくような、冷たい返事があった。 「いや、服が映画館のスタッフっぽくないから…………」 「この映画館ではスタッフの服装は自由なの。それにネームプレートもつけているから」 「ネームプレート?」 胸元を見ると、『氷室』と書かれた小さなネームプレートがくっついている。 「氷室さん?」 「そう…………氷室亜里沙。この映画館唯一のスタッフ。高校が休みの時にここでバイトしてるの」 亜里沙さんはじとりとした目で僕を見上げる。 「初めての客みたいだけど、映画には詳しくないみたいだね」 「うん。映画館に入ったのは初めてだよ」 「なんだ。千映さん狙いってことか」 「ちっ、違うよ!」
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