第一話『ショーシャンクの空に』

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亜里沙さんの瞳が輝いた気がした。 「とりあえず一九八一年版の『死霊のはらわた』は観ておくべきね。人間に憑依した悪霊の造形がサイコーにグロテスクだから。あと『悪魔のいけにえ』かな。人の皮を剥いで仮面を作る殺人鬼のレザーフェイスがかっこいいよ。人の殺し方が妙にリアルでさ」 「…………タイトルの段階でもう怖いな。はらわたとか、いけにえとか」 「原題は違うけどね。あ、あと『フェノミナ』もいいよ。ラスト近くのうじ…………」 「亜里沙さん」 突然、千映さんが僕と亜里沙さんの間に割って入った。 「悠人さんは映画初心者なんですよ。のっけから、ハードなホラー映画をオススメするのはちょっと…………」 「それなら、邦画の『リング』ぐらいにしておく? あれなら、ほとんど血も出ないし」 「いやいや。やっぱり、ホラーのジャンルから離れて、ミステリーやアクションからにしましょう! そのほうが男性受けがいいと思います」 「じゃあ、一日に二本の映画を観てもらって、そのうちの一本はホラーに…………」 「ま、待って下さい!」
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