第一話『ショーシャンクの空に』

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僕は両手を左右に振った。 「そんなに何本も映画を観る気はないですよ。僕は映画好きじゃなくて、『ショーシャンクの空に』って作品にだけ興味があるんですから」 「そうなんですか? 悠人さんはこれから毎日のように映画を観るようになると思っていたんですけど」 「それはないです。というか、千映さんは人の心が読めるんだからわかりますよね?」 「読めませんよ。たまに当たっているだけで、半分は外れますから」 「…………もしかして、その外れた半分って、映画関係の時だけじゃないですか?」 「あれ? 何でわかったんですか?」 千映さんの瞳が丸くなる。 本気で驚いているようだ。 やっぱり、映画関係のことになると、推理力がなくなるのか。 それとも、全ての人間が映画好きとでも思っているのかな。 そんなことありえないのに。 「とにかく、僕が観る映画は『ショーシャンクの空に』だけです。それも、ちょっとした気まぐれですから」 「そう…………ですか」
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