第一話『ショーシャンクの空に』

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「雪村さんが?」 藤崎店長から視線を動かすと、雪村さんが申し訳なさそうな顔で口を開く。 「…………はい。倉庫のデジカメを数えていたら、積んであったデジカメの一番下の箱から、変な音がしたんです。カラカラって」 「カラカラ?」 「そうです。それで中を見たら石が入っていて、店長に報告を…………」 「というわけだ」 藤崎店長は人差し指でトントンと机を叩く。 「その後、私も倉庫をチェックして、結局、三つのデジカメの箱に石が入っているのを確認したよ」 「三つ…………」 「で、言い訳はあるかね? 瀬川君」 「言い訳? 僕がデジカメの箱の中に石を入れたと思っているんですか?」 上擦った声が漏れた。 「冗談じゃない! 僕がそんなことをする理由がないですよ」 「理由はあるだろ? このデジカメは中古屋で高く売れる。三つも売れば三十万近くにはなるだろうな」 「金の為に僕が盗んだって言うんですか?」
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