第一話『ショーシャンクの空に』

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エントランスホールに出ると、亜里沙さんがチケット売り場でポップコーンを若い男に売っていた。 男は亜里沙さんからポップコーンとペプシコーラのLサイズを受け取ると、小走りで試写室の中に入っていった。 今の人は初めて『ショーシャンクの空に』を観るんだろうか。 それとも、もう、何度も観ているのかな? そんなことを考えながら、壁に貼ってある映画のポスターを見ていると、試写室のドアから千映さんが出てきた。 「ちゃんと待っていてくれたんですね」 「あ…………はい。それで、僕に何の用ですか?」 「せっかくですから、映画の感想をお聞きしようと思って」 千映さんの言葉に、僕は数秒間、沈黙した。
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