第一話『ショーシャンクの空に』

53/97
前へ
/258ページ
次へ
「そう言えば、冤罪で仕事を辞められたんですよね? デジカメを盗んだ犯人と思われているみたいですけど」 「そこまで聞かれていましたか…………。まあ、店長は僕のことを犯人だと決めつけているし、店の他の人もそうでしょう。二、三人は僕を信じてくれると思いますけど」 「私も悠人さんが犯人でないとわかってますよ」 「わかっている? また、僕の心が読めたんですか?」 「いいえ。演技が下手だからですよ」 「演技が下手?」 「はい。あなたの同僚だったお二人の演技が。論評させていただけるのなら、俳優の演技は五段階で☆二つってところでしょうか。脚本とセリフもいまいちでした」 そう言って、千映さんが微笑んだ。 「え…………?」 一瞬、僕の思考が停止した。 千映さんは何を言っているんだ? 同僚だった二人って、梶原君と石川さんのことだよな?
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

202人が本棚に入れています
本棚に追加