第一話『ショーシャンクの空に』

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僕は口をぱくぱくと動かす。 本当にあの二人がデジカメを盗んだのか?  その可能性はゼロじゃないけど…………。 千映さんの顔をじっと見つめる。 千映さんは僕の心を何度も読んだ。 表情や仕草でそれがわかるみたいだけど、ろくに事情も知らない盗難事件の犯人までわかるものなんだろうか? 「梶原君と石川さんの表情や仕草に変なところはなかったと思いますけど?」 「いっぱいありましたよ。セリフもミスってましたし」 「セリフって、梶原君たちの言葉ってことですよね?」 「はい。小さなミスですけど」 「それがどこか教えてもらえますか?」 「ええ。でも、話す前に、事件のことを詳しく教えて下さい。それで、より真実がわかると思いますから」 「…………わかりました」 僕は店の事務所で藤崎店長から聞いた話を千映さんに伝えた。
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