第一話『ショーシャンクの空に』

57/97
前へ
/258ページ
次へ
肩をすくめて、千映さんは言葉を続ける。 「俳優でもいますからね。演技が上手い方とそうでない方。演技が下手だと、せっかくのいい脚本がダメになっちゃうこともあるんです。あと、日本語の吹き替えも下手だとダメですよね。上手い方なら、芸能人の吹き替えは問題ないんですけど、人気や話題性で下手な方に吹き替えをやらせるのは…………」 「千映さん! また、映画の話に入ってますよ」 「あ…………失礼しました。それで、話を戻しますけど、梶原さんと石川さんは少しの疑惑も感じることなく、悠人さんがデジカメを盗んだとは思っていない態度でした。仕草やセリフから、それがわかったんです」 「仕草やセリフか…………」 その時の梶原君と石川さんの表情と言葉を思い出す。 二人とも僕を心配しているように見えたし、言葉にも変なところはなかったように思える。 「僕には普通に思えたけどなぁ…………」
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

202人が本棚に入れています
本棚に追加