第一話『ショーシャンクの空に』

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僕の質問に、千映さんはしっかりと頷く。 「悠人さん。逆の立場になって考えてみて下さい」 「逆の立場?」 「はい。寺中チーフ…………でしたっけ? その方から悠人さんに電話があって、デジカメが三台盗まれたと聞かされます」 「え、ええ」 「で、数時間後にその数を二台と勘違いしますか?」 「…………い、いや。多分しないと思います。デジカメが盗まれることは、そんなにあることじゃないし、台数も重要ですから」 たしかに千映さんの言う通りだ。 僕ならデジカメが盗まれた台数は間違えない。 それはデジカメ担当ってこともあるけど、これがパソコンだったとしても同じだろう。 「そう。普通は間違えないんです。でも、梶原さんは間違えた。そして、それを素早く石川さんが訂正していました。まるで、梶原さんが間違えるのを知っていたかのように」 「計算した会話ってことか…………」
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