第一話『ショーシャンクの空に』

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「断言はできないが、その可能性は高いだろう」 唇を歪めるようにして、藤崎店長は笑った。 「さっき、寺中チーフに確認したら、君はこのデジカメの買い取り価格を知っていたらしいな」 「え、ええ。サイトで中古価格を調べましたから。その時、買い取り価格も表示してあったんですよ。それを覚えていただけです」 「偶然って言いたいわけか?」 「そうです。僕はデジカメを盗んでませんから!」 「犯人もそう言うだろうな」 「藤崎店長…………」 全身の血が一気に冷えた気がした。厳しい店長だと思っていたが、これほど冷酷な視線を受けたことはない。 きっと、藤崎店長は、僕が犯人だと決めつけているのだろう。
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