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「…………今、何て?」
「『グリーンマイル』って言いました」
千映さんは首を僅かに傾けて、にっこりと微笑む。
「当たってますよね?」
「そんなバカなっ!」
僕は慌てて千映さんに駆け寄った。
「僕はまだ口を動かしていませんでした。心の中で『グリーンマイル』って言おうって考えていただけで」
「はい。そうだと思いました」
「…………ウソだろ」
こんなこと、ありえない。
僕は『グリーンマイル』のグも口にしてなかったんだ。
それなのに彼女は僕が言おうとしていた言葉を当てた。
唇の動きじゃないし、表情や仕草で適当に言おうとした言葉がわかるはずがない。
「…………超能力者ですか?」
「違いますよ。悠人さんの仕草から、考えていることが読めたんです」
「それは無理ですよ。関連性のある会話を読むのはわかるかもしれないけど、僕が言おうとしたのは、ただの映画のタイトルです」
「でも、わかったんです」
「どうやって? 百歩譲って、これが『ショーシャンクの空に』ならわかりますよ。さっき観た映画だから予想できると思うし」
「私が悠人さんの言おうとした言葉を当てたのは、いくつもの要素からです」
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