第一話『ショーシャンクの空に』

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「…………今、何て?」 「『グリーンマイル』って言いました」 千映さんは首を僅かに傾けて、にっこりと微笑む。 「当たってますよね?」 「そんなバカなっ!」 僕は慌てて千映さんに駆け寄った。 「僕はまだ口を動かしていませんでした。心の中で『グリーンマイル』って言おうって考えていただけで」 「はい。そうだと思いました」 「…………ウソだろ」 こんなこと、ありえない。 僕は『グリーンマイル』のグも口にしてなかったんだ。 それなのに彼女は僕が言おうとしていた言葉を当てた。 唇の動きじゃないし、表情や仕草で適当に言おうとした言葉がわかるはずがない。 「…………超能力者ですか?」 「違いますよ。悠人さんの仕草から、考えていることが読めたんです」 「それは無理ですよ。関連性のある会話を読むのはわかるかもしれないけど、僕が言おうとしたのは、ただの映画のタイトルです」 「でも、わかったんです」 「どうやって? 百歩譲って、これが『ショーシャンクの空に』ならわかりますよ。さっき観た映画だから予想できると思うし」 「私が悠人さんの言おうとした言葉を当てたのは、いくつもの要素からです」
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