第一話『ショーシャンクの空に』

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「要素?」 「ええ。悠人さんは一度目に私の名前を言って当てられました。それなら二度目は当てられない言葉を探しますよね」 千映さんは人差し指を立てて、僕の目を指差した。 「さっき、悠人さんは何を言うか考えている時に、視線が僅かですが右に動きました。私から見れば左ですけど、その位置には映画のポスターが貼ってあります」 「…………だ、だけど、映画のポスターは何十枚も貼ってありますよ?」 「悠人さんの目線のあたりなら、『レインマン』『プラダを着た悪魔』『グリーンマイル』が貼ってあるはずです」 背後に貼ってある映画のポスターを見ることなく、千映さんは答えた。 「悠人さんはここに入った時、壁のポスターを眺めていましたよね」 「え、ええ。でも、『グリーンマイル』以外にも見てましたよ。『タイタニック』のポスターや他の映画のポスターも」 「でも、『グリーンマイル』を見ている時間がちょっと長かったんですよ。多分、ポスターに書かれていた文字を読んでいたのかなって」 「…………たしかに、そうですけど」
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