名画座パラディーゾ 朝霧千映のロジック

第一話『ショーシャンクの空に』

「『グリーンマイル』の原作と監督は『ショーシャンクの空に』と同じスティーヴン・キングとフランク・ダラボンで、そのことが映画のポスターにも書いてあります。映画に詳しくない悠人さんは二人を知らないはずですけど、これから観る予定の映画に関係していることですから、ちょっと頭の中に残っちゃいますよね」

「頭の中に残る…………」

僕は口元に手を寄せて、まぶたを閉じる。

そうだ。何の言葉にしようと悩んだ時、僕は千映さんの後ろにある映画のポスターを見たんだ。

そこに『グリーンマイル』のポスターがあったから、それにしようと考えた。

千映さんは僕が映画をほとんど観ていないことを知っているから、予想ができないと思って。

「そんな小さなことで、当てられたのか…………」

「小さなことでも、悠人さんが『グリーンマイル』を選んだ要素はいくつもありました。目線が映画のポスターに向いたこと。映画を観る前に『グリーンマイル』のポスターに注目していたこと。同じ原作と監督の『ショーシャンクの空に』に感動していたこと。二度目の言葉選びだったので、私に予想されないような言葉を選ぼうとしたこと。だけど」

「だけど…………何です？」

「だけど、悠人さんはこの言葉当てを、ちょっと楽しもうと思ったんじゃないですか？　ゲームみたいに」

「…………そう…………ですね。そんな気持ちが少しあったと思います」