第一話『ショーシャンクの空に』

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「そうなると、答えを言う時に、シャレのある言葉を選んだほうがいいと考えちゃいますよね。ここは映画館だし、私が映画好きなことを悠人さんは知っています。それなら、映画のタイトルが面白い。悠人さんはそう考えたんじゃないですか?」 「…………その通りです」 僕は両手を上げて、千映さんの予想を肯定した。 「千映さんが当てられるかどうか半信半疑でした。だから、当てられない時に、映画のタイトルにしたら面白いと思ったんです。実は映画のタイトルを言ったんですよって」 「あははっ! まあ、今のは唇の動きを読んで当てたわけじゃないので、もう一度、やりますか?」 「…………いえ。もういいです。千映さんの能力は理解できました」 自分の吐き出した息の音が耳に届いた。 千映さんが石川さんの唇の動きを読めたのは間違いないだろう。 第一、彼女がウソをつく理由もない。 つまり、石川さんと梶原君がデジカメを盗んだ犯人ってことだ。
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