第一話『ショーシャンクの空に』

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外に出ると、太陽が真上にあった。 商店街の前の道路には多くの人たちが行き交っている。 土曜日なので、人の数も普段より多く感じた。 「とりあえず、月曜日まで生き延びないと」 財布の中には二十円しか残ってないから、食べ物を買うのは難しいだろう。 こんなことになるのなら、一枚でもいいから、カードでも作っておけばよかった。 一年間、正社員で仕事をしていたんだから、審査は通ったはずなのに。 まあ、ポップコーンも食べられたし、なんとかなるだろ。 無実の罪で刑務所に入れられたアンディーに比べれば、僕のこの状況なんて、たいしたことないさ。 月曜日になったら、定期貯金を解約して職探しだ。必死になれば、きっと仕事も見つかるはずだ。 「希望は何にも替え難い。希望は永遠の命か…………」 僕は『ショーシャンクの空に』のセリフを自然と口にしていた。
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