第一話『ショーシャンクの空に』

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倉庫に入れていたデジカメはちゃんとバーコードがある面を揃えていた。 すぐにハンディ端末で読み取れるように。 もし、デジカメの箱の中から変な音が聞こえたことが本当なら、雪村さんはわざわざ一台ずつ持ち上げて、読み取っていたことになる。 そんなことをやっている社員はいないのに…………。 「…………いや。待ってください。もしかしたら、デジカメの箱を棚から落とした可能性もあるかもしれない。そして、その時に変な音がしたので中を確認したとか」 「その可能性もありますけど、店長さんに説明する時に、そう話すんじゃないですか?」 「精密機械を落としたことを藤崎店長に話しにくかったのかもしれない」 「それなら、どうして雪村さんは一番下の箱から音がしたってわかったんですか? デジカメを棚から落としたら、バラバラに床に落ちますよね? それを拾い上げた時に変な音が聞こえたってことになりますけど、変な音がしたデジカメが一番下に積まれていたと何故わかったんでしょうか?」 「それは…………」 その質問に僕は答えることができなかった。
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