第一話『ショーシャンクの空に』

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「責任をとる?」 「うん。明日、藤崎店長に話すよ。自分と石川さんと梶原君がデジカメを盗んだことを」 「…………それでいいの?」 僕の質問に、雪村さんは首を縦に振った。 「もっと早くそうするべきだったんだよ。石川さんは怒るだろうけど、もう、私は決めたんだ」 「それがいいかもしれないね」 「瀬川君はスマイル電器に戻ってね。犯人じゃないんだから、退職する理由もないし」 「…………いや。僕が犯人じゃなくても、上司の藤崎店長に喧嘩を売ったようなものだからね。それに、スマイル電器は僕を必要としていないみたいだ。それなら、僕を必要としてくれる新しい会社で働きたいよ。と、かっこつけても、新しい仕事先なんて、まだ見つかってないけどね」 僕は苦笑しながら、頭をかいた。
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