第一話『ショーシャンクの空に』

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「仕事が見つからなくて悠人さんが困っているのはわかっています。でも、それだけで雇うことを決めていたら、スタッフが何十人も増えてしまいますからね。うちみたいな小さな映画館なら数人が限界です」 「じゃあ、なんで僕を?」 「悠人さんは接客業をやっていましたし、パソコンの操作も問題なさそうです。性格も穏やかな感じがしますし、悪いことをするようなタイプにも見えません。それに…………」 「それに、なんです?」 「悠人さんは私とは対極にいる人です。映画をほとんど観たことがないどころか、映画館に入ったのも一度だけです。そんな人たちにも、たくさんの映画を観てもらえるようにできたら素晴らしいと思って」 「映画に興味がない僕の意見が参考になるかもってことか…………」 唇を強く結んで、僕は思考する。
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