第一話『ショーシャンクの空に』

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僕が映画館の仕事をする?  そんなこと、考えたこともなかった。 でも、今の状況なら雇ってもらえることは有り難い。 お金も残り少ないし、他の仕事がすぐに見つかるとも思えない。 それに…………。 真剣な目で僕を見上げている千映さんを見つめる。  「…………本当に僕を雇ってもらえるんですか?」 「そのかわり、お給料は少ないですけど。月に十五万円プラス住み込みでいかがでしょうか?」 「住み込み?」 「はい。このビルの二階に小さな部屋があるんです。ユニットバスでお風呂も狭いですけど、野宿よりいいと思いませんか?」 「…………そうですね。今の僕には有り難い条件です」 「じゃあ…………」 「はい。僕でよければ喜んで働かせてもらいます」 僕は新しい雇い主に向かって、深く頭を下げた。 「それで、いつから僕は働けばいいんですか?」 「もし、悠人さんがよければ、今日からでもいいですか?」 「はい。僕も早く仕事を覚えたいから」 「では、改めまして…………」 千映さんは、優雅に一礼をして、笑みの形をしていた唇を開く。 「素晴らしき映画の世界にようこそ!」 鈴の音のような心地よい声が僕の耳に届いた。
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