episode182  不法侵入

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「うん。もう少しで死ぬとこだった」 冗談か本気か。 凪は笑って首筋に触れた僕の指を絡めとる。 「で、傷の具合は?」 気まずさと怖いくらい 彼から伝わる切実さにあてられて。 僕は咄嗟に手を引っ込めた。 「もう大丈夫。何針か塗ったけど君の顔見たら痛みも忘れたよ」 「そう……」 照れ隠しだとでも 思ったんだろうか。 「ねえ、少し一緒に歩こうよ」 凪はまんざらでもない風に言って 懲りずに僕の手を握り直した。
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