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「うん。もう少しで死ぬとこだった」
冗談か本気か。
凪は笑って首筋に触れた僕の指を絡めとる。
「で、傷の具合は?」
気まずさと怖いくらい
彼から伝わる切実さにあてられて。
僕は咄嗟に手を引っ込めた。
「もう大丈夫。何針か塗ったけど君の顔見たら痛みも忘れたよ」
「そう……」
照れ隠しだとでも
思ったんだろうか。
「ねえ、少し一緒に歩こうよ」
凪はまんざらでもない風に言って
懲りずに僕の手を握り直した。
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