episode182  不法侵入

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「ダメだよ」 赤い唇を前にして たまらず身を屈める凪を。 「こんなとこ誰かに見つかったら」 先手を打って僕は押し留めた。 言ってる傍から 「……ん?」 小走りに庭を駆けまわる足音が近づいてくる。 「隠れて!」 僕は思わず凪の手を引いて 蔓薔薇の生垣の裏に身を潜めた。 「向こうを――遠くへ入ってないはずです」 中川と使用人たちだ。 血相変えて裏庭の方へ駆けてゆく。
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