174人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕を探してんだ」
もやもやしっぱなしだった。
最近の鬱憤を晴らせた気がして
ついつい笑みが零れる。
「待って、そのまま!」
「え?」
うっとりとした眼差しで
凪は立ち上がろうとする僕を引き留めた。
「ほら、花の冠」
頭上に目をやると
奇しくも僕の髪を彩る形に絡んだ
小さな白い蔓薔薇を指先で愛でる。
「動かないで。綺麗だよ。本物のフランス人形みたいだ」
こんなにロマンティックに
動くなと言われたら。
今度は当然
キスも拒めない――。
最初のコメントを投稿しよう!