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「中川」
「は」
征司が命じると中川が
僕の薬を銀のトレイに乗せ全て回収してゆく。
「それ、どうするの……?」
「もう必要ないでしょう」
征司が戻ったこと。
それで僕の心は落ち着くだろうと思ってるんだ。
九条さんが少し不満気に呟いた。
「みんなトイレに流してまいります!」
鼻息も荒く老執事は
僕に吐き捨て目の前を通り過ぎて行く。
「……何もそこまでしなくても」
名残惜しい。
落ち着かない。
本当は喉から手が出るほど。
「トイレに頭突っ込んでくるか?」
「いえ……大丈夫です」
だけどそんなこと言えない。
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