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「甘いの嫌いなんですか」
「いや、人並みには食べますよ。プリンとか好きだし。でもそれは甘すぎ」
甘すぎるジャンク感がいいのに。
内心反論する。
味について話していたら、やはりもういくつかほしくなって棚に残っている分をカゴにいれた。男が、それに対して眉を寄せるのが、少し面白い。
意識したことがないのだが、こういう反応を見るたびに自分はもしや世間一般よりも甘党なのではないか、と考える。
昔はケーキなど食べさせてもらえなかったから、もしかしたらその反動なのかもしれない。
「生クリームがもっと入ってても個人的にはいい、と、思いますけど」
「ええー!」
まだ甘くするのか、と声を上げる男に奏多は悪戯心をくすぐられて、口の端を上げた。
「苺のジャムだから、チョコかけてもいいかも」
「生の苺にチョコは合うけど、これには合わないですって」
「じゃあ、はちみつ」
「味的にどうかなぁ」
「……それはちょっと、自分でも思った」
男がこらえきれなくなったように笑い、奏多もつられて目元を緩める。
「生地に練り込むんだったら、でも、いけそう」
「どこまで甘くしたいんですか」
「限界まで甘くするとどんな味か、気になりませんか?」
「いやー、それならカカオ九十九パーセントのチョコに挑戦します」
「俺はそっちの方がやです」
想像しただけで苦さに口がしびれてくるような気がして、奏多はしぶい表情を作る。
その奏多を見て、また笑みを深めた男はひとしきり笑ったあと、ふぅと落ち着くために息を吐いた。
「そういえば、近所に住んでるんですか?」
急に変わった話題に一瞬ついていけなくて、きょとんと目を瞬いた。
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