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 すぐにどこに住んでいるのか聞かれているのを理解して、小さく頷く。さすがに、ジャージにサンダルで遠くからこんなところのコンビニまで来たりする人間はいないだろう。  自分の服装を思い返して、改めて男の服に意識を向けた。軽装の奏多とは違い、マフラーにPコート、そして細身のジーンズ。奏多よりも幾分か年下そうに見えるのでもしかしたらまだ学生なのかもしれない。  少なくとも、普通の会社勤めをしている風には見えなかった。 「遠くから来てるように見えますか?」 「いや、徒歩五分圏内です、って格好に見える」 「……そんなところです」  徒歩五分どころか十秒圏内です。と、心の中で付け加えていると、男は奏多の肯定に、あっ、と何か思いついたように眉を上げた。 「もしかして、ここの上のマンション。とか?」 「え、」  何故わかったのだろう。  言い当てられて思わず目を瞠る。奏多の反応に自分の予想が正解だと察した男は、パッと顔を明るくした。 「やっぱり! ここに住んでるんだ。あの、俺――…」  テンションを上げて何か言いかけた男は、しかし途中でぱたりと言葉を止めた。数瞬考えるように瞳を揺らして、ごまかしの笑いを浮かべる。 「俺、の……友達? も、ここに住んでるんですよ」 「はぁ…、そうなんですか」  友達の後に疑問符がついた気がしたが、あまり突っ込まない方がいいだろうか。 「うん……うん、そう。そうなの」 「あー、この前のスーツの?」 「スーツ…? あ、そう! あれが友達。今日も遊びにきてて」 「仲いいんですね」 「仕事でも付き合いあるんで」 「え、社会人……」  男には悪いがまったく見えなかった。素直に驚いていると、奏多の反応に男が苦笑する。
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