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「――…似てますか?」 「え? あ、はい。すごい似てる。よく言われませんか?」  ほとんど同一人物かと疑ってしまうほどよく似ている。兄弟と言われたら納得してしまいそうだ。  奏多はこういうのに疎い上に、そういう話をする友人がいないのであまりわからないのだが、男ぐらいの年齢であれば芸能に興味がある人間も多いので、話題に上っていてもおかしくないと思った。  なので、思ったままを訊いたのに、何故だか男は奏多の質問にかなり驚いていた。奏多もまさかの反応に、ぽかん、としてしまう。 「にて……、そう、ですね。似てます。よく言われる」  しまいには、男はくつくつと笑い出した。噛みしめるように奏多の問いに答えたと思ったら、顔を逸らして耐え切れなくなったように笑いを大きくする。 「っ、なんで笑うんですか?」  そんなに奏多はおかしなことを言っただろうか。それとも、奏多の目が節穴なだけで実際はそんなに似ていないのか。  突然笑われて、面白く思う人間はいない。楽しげな男とは反対に、奏多はむぅ、と口を尖らせて抗議した。 「なんでもないですよ」 「なんでもないのに笑うんですか」 「んー。強いて言えば、あなたが可愛かったから、かな?」 「は?」  収まりかけた笑いを引きずりながら告げられた言葉を、奏多は一瞬理解できなかった。  可愛い? 誰が? 奏多が?  脈略がなさすぎる。変にはぐらかされた気がして、男を睨め付けた。しかし男は、奏多の強い視線もどこ吹く風で、落ち着くために大きく深呼吸している。
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