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 夕飯用に買ったおでんのプラスチックの蓋に奏多が手を伸ばすと、それに合わせて佐智が切り出した。 「ついてきてもらって悪いな、アマネ」 「いえ、俺も興奮しすぎてて……」  一拍おいて冷静になったのか、コンビニでのことを照れたようにアマネが首に手をかけた。 「お前の言う通り、奏多…本名が田野倉奏多っていうんだけど、カナ、な。俺の従兄弟なんだ」 「プロデューサーと従兄弟なんですか? 言われてみれば目元とかちょっと似てるかも」  じっと顔を見つめられる。琥珀色の瞳がとろり、と、はちみつのように蕩けた気がして、奏多は落ち着かなかった。 「あんまり似てると思ったことないな。――…で、奏多、この子はアマネ。我が社が絶賛売り出し中の若手アーティスト」 「……いくつ?」 「二十三」 「にじゅうさん」  やっぱり若かった。奏多よりも四つも下だ。もっと言うと、佐智より十近く下である。  若さに半ば感心していると、アマネが首を傾げた。 「カナも同じくらいじゃないの」  至って真面目にアマネの口からでてきたその問いに、奏多はげんなりと口をあけ、佐智は肩を揺らした。  何歳に見られても気にしない。本当に。しないけれど、次の周の反応とそれに付随する佐智の笑いが予想できるのが嫌だった。 「はは、同じに見えるか?」 「え、違うんですか」 「違うよ。なぁ、奏多」  楽しそうに笑う佐智は無視をするのが一番だ。頑なに佐智には視線をやらずに、奏多はぼそりとこたえた。 「二十七だよ」 「えっ!? 四つ上!?」  信じられないとでも言いたげに目をむいたアマネは、大きな声を上げた。それに佐智の笑いが深まる。
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