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それから奴とのメールは続いていた。
時折電話をしていると"羽鳥と会ってくる"と電話が切られる事もしばしばだった。
その度に私は仕方ないという思いともどかしい思いでいっぱいだった。
もっと彼と近ければ‥
もっと彼と触れ合えれば‥
出来ないと知っていたのにそんな気持ちが巡っていた。
そう。
この頃から多分私は恋の病に侵されていたんだと思う。
彼が幸せであれば私はいつかお払い箱だと思っていた。
それなのに‥。
どうしてこんなに切ない気持ちになるのか‥。
これが恋なのかどうか初めての恋愛である私にはわからなかった。
プルル‥
ディスプレーには辰巳の文字。
私:もしもし。
辰巳:ごめんね。今帰ってるよ。
私:そっか。
辰巳:先生からプレゼントもらっちゃった!
私:え?!
辰巳:今日は一緒に出かけてて筆箱欲しいって言ったら買ってくれた!
私:そっ‥か‥。
辰巳:どうしたの?!
私:なんでも‥ない‥。
プー、プー‥
私は一方的に電話を切った。
だって酷いじゃん。
彼女がいるって知ってるくせにデートに誘う先生にも何も言わず黙って着いていく彼にも怒りでいっぱいだった。
その日私は奴に一度も連絡しなかった。
しかしこの選択は後に悲劇を呼ぶことになろうとは知る由もない‥。
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