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剣道の師でもあった父が突然病に倒れた。
母が看病をしながら裁縫仕事を請け負い家族3人慎ましい生活を送っていたが、父が逝ってから幾日も経たぬうち事故に巻き込まれ母までも帰らぬ人となった。
生前父から武道を通して厳しく躾られたことが挫けず生きる糧となる。
枯れるほど涙を流した後は悲しみに浸る暇はない。
親が亡くなり天涯孤独になった子は他にもいる。
生活が苦しく赤子の内に捨てられる場合だってある。
ただ生きるために前を向くだけだ。
顔見知りの店や大人に頼みこみ、下働きや使いっぱしりをして小銭を稼ぐ。
持ち前の明るさや愛嬌に助けられ周りも余裕が無いながら手を貸してくれた。
そんな日々が一月ほど経った頃だった。
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