第1章

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「元より人間かどうかも分からねえよ。人間の脳って割と都合良いらしいし。願望で俺らが人間の姿してるように見えてるだけかもしれない。ほら、良く言うじゃないか。猫も人間を大きな猫だと思ってる。とか」 「ならその情報はどこで聞いた話なんでしょう」 「それは、知らん」 「なんで日本の言葉を話せるんでしょう」 「そら日本に居るからな」 「ならどうして猫は日本語を話せないんでしょう」 「頭が違うんだよ頭が」  するとパンと音が耳の鼓膜を叩いた。 「ここまで」  ウエオが手を合わせている。 いつもこうだ。この二人の喧嘩を止めるのは必ずウエオ。これを良心だというのだろうか。微妙なところだ。  ウエオはさらにカキに対し聞く。 「カキちゃん何か見つけたの」 数秒置いて答えた。 「何も。ただ」 「ただ」 「私が今着ている制服と同じ制服を着ている人を見つけました。なので暫く張り込みを」 「そうかい。じゃ頑張れよ」  本当に空気が読めない。なぜいつもこうも鼻に付く言葉が出せるのだろう。  こいつはこのままでもいいのではないだろうか。そうだ。そうしよう。何か分かってもこいつにだけは言わないようにしよう。後で土下座して頼み込んで来たら教えてやらないこともない。カキは考えた。  悪い顔が浮き彫りだった事は他の2人に筒抜けなほど。 「そんなことよりお花見行こうよ。さっきアイとも話してたんだ」 「嫌ですよ。人は多いし、なんでハゲ無精ひげ、おまけに短パンタンクトップなんかと花見なんて行かないといけないんですか」  これだ。この二人は妙に似ているところがあるから困るのだ。 「そう言わずに」などと言っても遅々として話は進まない。  ウエオはいじけた。  そしてカキはもう一度外に行くと言って出ていってしまう。 「ほら行っちゃった。アイ君はもう少し優しく言いなよな」 「努力はするよ」  明らかにするような顔ではない。 それからアイもまた外へ出る。  情報収集ではなく、暇つぶしである。
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