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彼女たちは見ていて飽きなかった。気づかない間に時間は過ぎて、もう少しの間、もう少しの間。この家族を見て、この家族の事を知りたかった。
もう夜も更けてきた。
アイとウエオはきっと心配しているだろうか。いや別に構わないだろう。ハゲやタンクトップよりも遥かにこの家族を見る方が楽しい。
だがおかしいのは、まだ父親という存在が帰ってこないことだ。不思議だった。もう時間は10時を回る。カエデの欠伸も増えてきた頃だった。
すると母が「眠いのでしょう」と声を掛ける。カエデは頷いた。
母はそっとカエデに寝るように促せば、カエデは自分の部屋に籠ってしまう。部屋の照明は付いていない。母は顔を覆うようにテーブルに俯いていた。
カキはその正面に座る。静かになったこの家庭は正直楽しくなくなった。
「帰ろうか。良い収穫だと思うし」
カキは席を立つ。
小屋に帰れば、今日の事を二人に話そうと思っていた。しかし二人は寝ていた。
寂しいが、まぁいいだろう。
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