3人が本棚に入れています
本棚に追加
思いもよらずF.O.Pはシュリと2人きりになってしまった。
何を話していいかわからない。
… 。
気まずい…。
部屋の中には重低音のズーンズーンと言う音だけが響き渡る。
シュリは会話がない事も苦にならないのか、自分から話し出すでもなく、その重低音に身を任せている。
F.O.Pは気まずさを誤魔化すため、デュポンのライターを手に取ると、タバコに火をつけようとした。
カキーン。
デュポン特有の開閉音が響く。
「いい音」
シュリがいきなり口を開いたので、F.O.Pはシュリがタバコ嫌いかもしれないと思い少し焦った。
「あっ、すみません。タバコ吸っても大丈夫ですか?」
シュリは首を縦に振った。
「私も1本吸いたいな」
同じ喫煙者とは有難い、気兼ねなくタバコが吸える。
F.O.Pはマルボロの箱からタバコを1本、取り出しやすいように半分だけ出た状態にした。
シュリに向けてその箱を差し出すと、シュリはニッコリ笑ってその1本を抜いた。
そして、ゆっくりとタバコを咥える。
F.O.Pはそうする事が当たり前の様に思えて、シュリの咥えたタバコに火を付けた。
ライターの火に灯されたシュリの顔はとても美しかった。
いや、美しいなんてそんな言葉は陳腐に思える。
この肌に化粧が乗るとまたどんな変化を起こすのだろう?
タバコに火を付ける。たったそれだけの行為なのに、F.O.Pの頭の中では色々な想像が駆け巡った。
最初のコメントを投稿しよう!