no.3

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思いもよらずF.O.Pはシュリと2人きりになってしまった。 何を話していいかわからない。 … 。 気まずい…。 部屋の中には重低音のズーンズーンと言う音だけが響き渡る。 シュリは会話がない事も苦にならないのか、自分から話し出すでもなく、その重低音に身を任せている。 F.O.Pは気まずさを誤魔化すため、デュポンのライターを手に取ると、タバコに火をつけようとした。 カキーン。 デュポン特有の開閉音が響く。 「いい音」 シュリがいきなり口を開いたので、F.O.Pはシュリがタバコ嫌いかもしれないと思い少し焦った。 「あっ、すみません。タバコ吸っても大丈夫ですか?」 シュリは首を縦に振った。 「私も1本吸いたいな」 同じ喫煙者とは有難い、気兼ねなくタバコが吸える。 F.O.Pはマルボロの箱からタバコを1本、取り出しやすいように半分だけ出た状態にした。 シュリに向けてその箱を差し出すと、シュリはニッコリ笑ってその1本を抜いた。 そして、ゆっくりとタバコを咥える。 F.O.Pはそうする事が当たり前の様に思えて、シュリの咥えたタバコに火を付けた。 ライターの火に灯されたシュリの顔はとても美しかった。 いや、美しいなんてそんな言葉は陳腐に思える。 この肌に化粧が乗るとまたどんな変化を起こすのだろう? タバコに火を付ける。たったそれだけの行為なのに、F.O.Pの頭の中では色々な想像が駆け巡った。
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