no.1

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テーブルの上に無造作に置いてあったスマホが、ブーッブーッと着信を知らせる。 アレンのスマホのようだ。 「どこに居るんだよ? まだ家? …って、わかった。迎えを出すから這ってでも、部屋の外へは出ろよ。そうしないとまた寝ちまうだろ? ん、うん待ってるからさ」 アレンは話し終えると、どこかへ電話をかけた。 「…あ、すまない。シュリを麻布まで連れてきてくれないか。シュリはまだ部屋にいるから…頼むね」 「シュリさん? まだ家だったの?」 スマホをまた無造作に置いたアレンに、シオンが聞いた。 「まだ誰か来るのか?」 「バンドのギターをやってるシュリを待ってるんです。寝坊して、さっき起きたみたいで…」 アレンは申し訳なさそうに、頭を掻いた。 「あいつ、最近1日の8割がたは寝てるんですよ。冬眠中の熊みたい」 シュリと言う人物を知っているのか、シオンは大笑いをしていた。 「あはは、シュリさんが熊ってー」 冬眠中…熊…一体どんな人物なんだ? F.O.Pは熊のような大男を想像して、少しげんなりした。 そう広くもないルーム、男4人とはむさ苦しい。 それから一時間ほど話しこみアレンに関してわかった事は、1987年生まれ俺と同い年、super sonicは結成10年目のバンドでインディーズながら結構な人気があるらしいという事だった。 「メジャーには移籍しないの?」もっともな質問をシオンがした。 「自分でレーベルを立ち上げたし、もっと売れたいとかあんまり考えてない。シュリの作った曲に俺の言葉を乗せて歌えればそれでいい」 「ヒューッ、それって超クール」シオンはアレンを指差しながら戯けて言った。 アレンも戯けてシオンに向けて指差し戯けてみせたが、その視線は入り口の方を向いていた。
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