ギルド

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「いや、すまない。知らない匂いがしたもんで、つい警戒しちまってな。」 ははは、と大きな声で笑う男にベルとインヴァネスは呆れた様に溜め息を漏らした その後ろにいるエスタとミリーナは苦笑を浮かべている こいつ等の反応を見る限り、この様なことは初めてでは無いのだろう 慌てていないのがその証拠だ いや、建物を壊されそうになった時は流石に慌てていたが ゼロは未だ警戒しているのか男から視線を外そうとしない 彼の様子にも男は笑顔を崩す事は無かった 「はは、いきなり攻撃してすまんな。俺の名はイルだ。ここのマスターをしている。よろしくな。」 明るく笑うイルを見たゼロはインヴァネスの後ろに隠れてしまった ゼロよりも10センチ程身長の高いインヴァネスの後ろに隠れた為、イルからはゼロの姿を見ることが出来なくなってしまう その彼の反応に周りは首を傾げた どんな相手であろうと怯まなかったゼロがイルを前にして隠れてしまった事に疑問を抱いているのだ 実は、ゼロはイルの様に笑う者が苦手であった 前の世界で唯一の親しい者であった二ノ宮も初めは苦手の部類であった 最初から、彼はゼロに笑いかけてきた 恐怖などが混じっていない純粋な笑顔で そんな笑顔を向けられると、居心地が悪くなるのだ 二ノ宮と同じでは無いが、似たような笑みを浮かべたイルに反射的にインヴァネスの後ろに隠れてしまったのだ .
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