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ゼロは全くインヴァネスの後ろから出てこようとしない
口を開く事無くゼロはイルに言葉を返した
『…ゼロだ』
ability “テレパシー能力・送信”
使わないと約束したそれを使ってしまうほど彼に対する苦手意識が強いらしい
いきなり頭に送信されてきた言葉に、イルは驚いたようだ
目を見開いて固まっている
イルの様子を見ていたインヴァネスはゼロがabilityを使った事に気がついた
後ろにいるゼロに視線を向けるが、彼は俯いていて表情が伺えない
「ゼロ、能力は使わないと約束しただろ?親父……イルにちゃんと挨拶をしてくれないか?これから頻繁に会うようになるんだから。」
インヴァネスの言葉にゼロは恐る恐るといった感じにイルの前に姿を現した
そんな彼の様子にインヴァネスは苦笑いを浮かべた
自分よりもずっと歳上であるはずの彼だが、まるで手のかかる弟ができた気分だ
インヴァネスがそんな事を思っているとは微塵も知らないゼロはイルにもう一度自己紹介をした
「…ゼロだ。インヴァネスの使い魔になった。種族は能力者だ。」
視線は下げたままで淡々と告げるゼロ
今までとは違う、冷たい空気を纏う彼に傍観していたベル達は思わず一歩後退りした
イルはゼロの纏う空気を諸ともせずに近付いて行く
ゼロは近付いてくるイルに冷たく鋭い殺気を向ける
だが視線をイルに向けることは無かった
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