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言いたいことはそれだけか、厨房へと戻っていった。
テーブルに並べられた良く見知った二皿と、既視感を覚える三皿。
さっきも食べた枝豆と、どう見てもおにぎり(海苔なし)
他は、麻婆豆腐のようなものと、海鮮丼のようなものと、冷しゃぶのようなものの三品
海鮮丼は刺身の生臭さが得意じゃないから、あまり好きじゃないけど、これは美味そうだ。
で、こいつは木のスプーンとフォークを変な持ち方して食べ始めた。
そんな持ち方して指が痛くならないのかとか思ったりする
ズッズル
「おいしい」
玄「いやいやいや、スプーンとフォーク使えよ」
持つだけ持って、麻婆らしきものの入った皿に顔を埋めて啜り食べてしまった。
玄「右のスプーンで掬って、scoop、そう その方がきれいに食べられるだろ?下品じゃない。」
「あの人は?あっちの人も同じだよ?」
あ…… 俺が説く立場にないんだな… これも常識とかそういったものか。
言われて周囲を見渡すと、スプーンで掬ってる人と皿から直接の人とが半々ぐらいか。 大体が別の皿だ
まあ、でも、掬って食べる文化があるのも確かだ。
見苦しいことは止めてもらおう
玄「あっちはあっち、こっちはこっちな。」
「はーい」
やけに素直で気持ち悪い
しっかりとスプーンで掬って食べてくれてる。
別に俺の前だけでもやってくれたらいいか。
………ああ、またか。
多分、親も似たようなこと思ってたんだろうなあ
よく溢す器用な持ち方。やけに美味そうな食べ方。良い食いっぷり。世話がやけるなと眼が離せない自分。
俺って意外と世話焼きなのかも
黙々と美味しそうに食べ進める姿を視てると、いつの間にか外は完全に暗くなっていて、酔い潰れている人もちらほらと
それにしても…… 食べるの遅い
一口に百回以上も噛んでるよ
人間だったら、その方が身体にいいんだけどなあ…
...まあ、まだ夜も長いし、なんか忘れてるような気もするけど、ゆっくり待つとするか
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