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カランコロンカラン
ドアの上の小さな鐘が店内に客(とは限らない)が入ったことを知らせる
この音、ちょっと苦手。急に頭上で鳴り響くな、何故だか悪い事をした気分になるから。
玄「こんにちは~…」
いない……居たわ
部屋の隅で……何かを落としたのか、隙間に手を伸ばしてる。 あ、こっち気付いた。
「いら…っさい……ちよっとだけ……待ってて ッテテください…っね……」
スッゴい苦しそうに手を伸ばしてるけど、何取ろうとしてるのか? お、取れたのか?
「お客さん、私より腕長そうですね……あの、言いにくいのですが、その……私、注文を受けた服の釦をそこに落としてしまいまして……代わりに取っていただくことってできますか?」
釦をねぇ…
玄「どんな釦ですか?」
「あ、この、これです。」
カウンターの裏から出してきた服は装飾の凝った高そうな服で、ガラス…っぽいおはじきみたいな釦が4つ付いてる。
「この釦が2つ、そこの隙間に入ってしまいまして…」
どれどれ…… なんだっけ?すごい違和感を覚える…あ、掃除が行き届いてるんだ。
それと、この人、釦落としすぎ
紺に焦げ茶、白黒、マーブルと10…合計14個も落ちてる。
玄「よく掃除はされてるんですか?」
「え?はい。埃がダメなもので…」
玄「この隙間は何で掃除してますか?」
「そこは、この箒の反対側に雑巾を付けて拭いてます。それがなにか…?」
気付けよ
玄「ちょっと失礼します……__ はい、取れましたよ」
「ありがとうございます。頭良いですね!」
(頭固いですね!それでも仕立屋ですか?)と、言ってやりたい
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